マッシュアップという名のもとに、多くの企業がベンチャーキャピタルを受けて新たなサービスを開始してきました。
しかし、その多くはGoogleなどのAPIを用いて、その基本エンジン上での広告収益をいかに上げるかというところに着目してものであったため、結果としてはGoogleの独占状態に拍車をかける存在でしかありませんでした。
ここでは、見た目の派手さは無くても「GoogleやYahoo!、MSNよりも優れた検索体験をエンドユーザに届けて、その市場に参入する」という気概を持ったサイトを紹介します。
第二弾は、ロボットにではなく人間の手で検索結果を精査する検索エンジン「ChaCha」です。

ロゴはタイミング的にニューイヤーバージョンですが、ご容赦を。
検索は前回紹介したHakiaと同様に、基本的に自然言語でのクエリーになります。
このクエリーはChaChaが契約している多くの「検索のエキスパート」に送られ、彼らが適切と思われる検索結果を返します。
これらの検索結果に満足がいくかどうかはRatingによって決まり、そのRatingがそのまま検索ガイドの報酬にも繋がるようです。
早速使ってみましょう。
まず、クエリーはちょっと検索には不適切かもしれない、こんな質問を用意してみました。
"who is the fastest winger in the recent world rugby?"
(近代ラグビーで最速のウィングは誰ですか?)
これを「Search With Guide」ボタンで検索すると、待機している検索ガイドの誰かとチャットが繋がります。(誰と繋がるのかは無作為の模様)
今回はレベッカさんがガイドをしてくれるようです。
"hello"と挨拶から始まり、「結果を探しているからちょっと待って」と。
試みに「はじめての利用なんです。面白いサイトですね」と話しかけてみると、「何が面白い?」「こんなサービスって他には無いでしょ」「数百万の結果から自分の欲しい情報を探すなんて大変よね」と、全く普通に会話してくれました。
# ちょっと、NTTの番号案内のお姉さんと会話しているような気分になったり。

(画面左端がチャット領域、右側が検索結果の表示領域)
最後のチャットの終わり方が割りと唐突で、ヘルプページにあるようなガイドの評価フォームも出てこなかったので、何かの事故でセッションが切れるなどしたのかもしれません。
が、ガイドとの接続も非常に速く、ちょっと調べにくい検索などにはまた使ってみたい気持ちも沸いてきました。
説明文にもあるように、「使えば使うほど検索精度が上がる」というのは確かでしょう。
ガイドさんと一緒に作り上げる検索結果に愛着が沸いてきたりもしそうです。
このサイトの問題は、果たして検索ガイドがどこまで信頼できるのかという部分でしょう。
サイトのヘルプにも記述がありますが、いくらプロといっても見落としもあれば間違えもあります。
また、単なる列挙ではなく順位をつける以上、サイト運営者は「なぜ自分のページが選ばれない/順位が低いのか」といった疑問を挟みたくもなってきます。
更に、例えば「世界を創ったのは誰ですか?」というようなタイプの質問については、検索ガイドの宗旨などのオピニオンが結果に影響を及ぼしてしまうでしょう。(逆に、全く主観を入れずにこのような質問に答えるサイトを順位を付けて提示することは不可能に近いのでは)
もっと言えば、このサイトは2つの大きなパラドックスを内包しているように見えます。
1つは、検索ガイドは果たしてどこで検索を行うのかという点。Googleのような従来型の検索エンジンか、少なくとも内製で機械的に情報を収集するクローラーが居ないことには、ガイドが情報を引き出すことは不可能でしょう。
そうなってくると、そのクローラーの収集頻度や精度が問題になってきて、結局はSEOによるオプティマイズなどを通じて情報提供せざるを得なくなってしまいます。
2つ目は、収益モデルの問題。Googleをはじめとして広告収入に頼るのが検索エンジンの常道ですが、人間が最適な結果を提示するとうたっているモデルに広告の表示は可能なのでしょうか。
ガイドが広告主を上位に出すようであれば、そもそもの検索精度が疑われます。ガイドの結果とは別にスポンサー枠を機械的に表示することは可能でしょうが、クエリー毎に入稿設定するのは困難ですし、そもそもガイドの結果を自信を持って薦めるスタイルであるならば広告を表示する言い訳が立ちません。
とはいえ、このような初歩的な問題は彼らの内部では既に解決の目途が立った上で進められているのが実際なのでしょう。
前述の通り、従来のロボット型には無い大きな魅力があることも確かです。
ChaChaは、あのAmazonのチーフエグゼクティブであるJeffrey P. Bezos氏が出資しており、A9でコケたリベンジとも見られています。
果たしてこの大きな試みが結実するのかは、彼の検索エンジン市場に対する熱意にもかかっているのかもしれません。
なお、全くの余談ですが試用で使った検索クエリーの回答は、どうやら2番目と3番目の検索結果に挙がった(1番目はRugbyのFAQページで、それらしい回答は無し)南アのブライアン・ハバナの様子。
オールブラックスファンの自分としては悔しいけど、確かにそうかな...
2007.1.3追記:
元ChaChaの検索ガイドだったという女性が、自身のBlogでChaChaを貶しまくっていました。
http://blog.myspace.com/index.cfm?fuseaction=blog.ListAll&friendID=130893767&MyToken=8925797c-4267-4c45-a8e4-5111cfe63b08ML
いわく、検索ガイドは重労働だし収入はデビッドカードとかPayPalでしか受け取れないし碌な研修は無いし得意なジャンルと違う質問にも答えなければいけないし内部システムは重いし使いにくいしハングるしで、散々でしたという感じ。
身元を執拗に隠しているため本当に元検索ガイドだったのかは不明ですが、確かに検索ガイドは色々と大変そうな感じです。


コメント (1)
Funny ChaCha chatlogs can be seen here:
http://www.technobeta.com/posts/chacha-the-future-of-search-engines/
投稿者: Santosh | 2007年01月09日 15:58
日時: 2007年01月09日 15:58