PCサイトを運営する際に、ユーザの集客窓口として検索エンジンを意識しても、ISPに思いを馳せることはあまりありません。しかし、携帯においてNTT DoCoMoやauといったキャリアの存在は非常に重要です。これは、長きに渡りキャリアが検索結果を支配してきたことによります。
キャリア=(ISP+検索エンジン)
携帯検索にGoogle、Yahoo!の2大検索エンジンが入ってきたのは、ソフトバンクが参入を果たした昨年になってからのことです。
それまでは比較的無名の企業がキャリアと共に独自の検索エンジンを創るのが主流になっており、DoCoMoはインターネット検索を始めた現在も10社と共同で自社サービスとして行っています。これは欧米であっても変わらない傾向で、InfoSpace、JumpTap、Medioといった企業が大手キャリアに搭載されている検索システムを構築しています。
こういったことの大きな理由のひとつは、キャリアが検索ビジネスの広告収益を自らの制御下に置いておきたいためです。
キャリアは検索窓口をまず「公式メニュー」という形で絞り、公式の登録審査や掲載料で収益をあげます。この審査には多くの場合、公式登録のためのコンサルタントが介在して提案書や申請書の作成を引き受けます。
いわゆる勝手サイト(公式メニューに登録されていないサイト)は閉め出されるため、公式サイトになれるかどうかが携帯ビジネスの第一歩でした。
登録後は公式メニュー内での順位競争が待っているわけですが、ここにもそのためのコンサルタントやプロモーション業者が入ります。これらの業者は殆どの場合、何らかの形でキャリアと関係しているようです。(そのため、多くの業者は「得意キャリア」以外には無力に近いです)
対象が既に審査された限られたコンテンツであるため、メニューの順位を決定するアルゴリズムは自ずと単純なものになります。殆どは単純なユニークユーザ数であり、サイトはクリック課金のような本質的でない集客に広告宣伝費を浪費するのが基本的なスタイルでした。
(これは、とりあえず毎月数百円の使用料を得るために登録を促し、あとは利用が無くても収益が上がるスタイルの多くの公式サイトの方法論と合致したということもあるかと思いますが)
批判的な書き方になりましたが、これはPCサイトにおいて行われている被リンクの売買などと「本質的でない」という意味で変わるものではありません。
しかし、検索エンジンが「ユーザに良い検索経験をしてもらうこと」をコアコンピタンスとして掲げスパム的な手法の撲滅に奔走しているのに対し、キャリアぐるみでこういったスタイルを支えてきた携帯市場での在り方は、やはり破綻してしかるべきなのでしょう。
キャリアは検索広告収益を手放したのか?
では、検索対象を勝手サイトに拡げ、広告モデルをAdWordsやOvertureに渡すことでキャリアはこのビジネスを手放したのでしょうか?
想像の範囲でしかないですが、Yesの部分とNoの部分があるように思います。
端的に言えば、むしろ公式コンテンツ運営業者が持っていた収益部分の方を押さえてしまい、検索上最も優位な位置を自サービスに引き込む形になるのではないでしょうか。
既に音楽配信やショッピングモールのような集客力の高いサービスはナップスターや楽天、DeNAのような業者がキャリアと組んで優位なサービスを展開しはじめています。
勝手サイトへ門戸を開いて検索対象が増えても、最上位の特別な枠を自社サービスが確保しておけば公式サイトから得られる以上の収益を得られる可能性が高くなります。
これは現時点でYahoo!がPC検索で進めているモデルであり、場合によってはYahoo!がやっているような競合排除まで将来的には含まれるかもしれません。
公式サイト事業者にしてみれば、下からは勝手サイト群に突き上げられ、上はキャリアに抑えられではたまったものではありませんが。
マーケティング手法はどうなっていくのか
いずれにしろ、単純な通話から既にe-commerce端末としての性格を強めている携帯電話の方向性は、インターネット全てが検索対象となることで更に飛躍的に加速するでしょう。
ユーザは公式メニューではなく検索窓を使うようになっていくことは間違いなく、公式メニューでのUU数による砂漠に水を撒くようなマーケティング手法よりも、効果の持続するSEOやSEMが選択肢の上位になってくるのは必然です。
特に前回も触れたように「少ない検索ワード数で検索」し、「小さな画面でわずかな情報しか得られない」携帯にあっては、SEMがより重要になってくると思われます。
検索結果の上位をキャリアのサービス、公式+PPC、通常の公式、勝手サイトの順で抑えられるならば、とりあえず公式へ登録しておいてSEMでの最上位を確保するのが基本戦略にならざるを得ないのではないでしょうか。
とはいえ、端末の画面も大型化が進み、携帯での検索もサイト/ユーザ/端末それぞれが成熟していけばPCのそれに近づいてくるはずです。
次回は、今まで不要であったためにあまり手法が確立されていない携帯SEOについて、プラクティカルな手法の紹介(というより、自分へのメモ書き)をしたいと思います。


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